南極移動基地ユニット完成後の記念撮影撮影:JARE61 吉井聖人(2020年5月21日、南極・昭和基地にて■株式会社ブリヂストンとの共同研究統計数理研究所は株式会社ブリヂストンと共同で、タイヤに取り付けられたセンサーから得られたデータを使用して路面状態を推定するシステムについて研究を進めています。このシステムから得られる路面状態の情報をドライバーや車両制御に伝達することで、安全な走行を支援することを目指しています。このシステムは車載搭載の実用上、(1) タイヤデータから頑健、かつ高速・軽量な演算による特徴量抽出、(2) データの取捨選択、(3) タイヤの経時変化に対応するために、路面状態の分類器の継続的な更新が課題となります。この共同研究では、速度や路面凹凸の変化に頑健な特徴量抽出法、kernel herdingによるデータ選択法、半教師あり学習法について検討しました。路面状態としてドライとウェットの2種類のタイヤデータを用いた実験と、実際に実装することを想定した検討を行い、継続的な学習と更新■JAXA、ミサワホーム株式会社、株式会社ミサワホーム総合研究所との共同研究■株式会社東芝との共同開発統計数理研究所は株式会社東芝との間で品質管理ビッグデータの解析手法に関して共同研究を行いました。大量の欠損を含むデータからでも不具合の要因を特定するデータ解析手法HMLasso™や、工場の現場技術者の知見を反映・学習して不良原因解析を可能にするデータ解析手法Transfer Lassoを開発しました。これらはスパース・モデリングという統計的機械学習の技法を利用しています。10図1:タイヤに取り付けられたセンサーから得られたデータを使用して道路状態を推定するシステムの概要HMLasso™ : https://www.ism.ac.jp/ura/press/ISM2019-08.htmlTransfer Lasso : https://www.ism.ac.jp/ura/press/ISM2020-10.htmlにより性能を維持でき、サスティナブルなシステム(図1)を構築できることを確認しました[1]。[1] 川真田智, 松井知子, 西田三博, 真砂剛, "タイヤ振動データを用いた道路状態推定システムの運用,” 電子情報通信学会技術研究報告, Volume 120, 195, pp. 14 -19.国立極地研究所は、JAXA、ミサワホーム株式会社、株式会社ミサワホーム総合研究所の4者共同で、「第61次南極地域観測隊公開利用研究」として南極・昭和基地で、極限環境下での持続可能な住宅システムの構築を目的とした実証実験を実施しました。 この「南極移動基地ユニット」が、公益財団法人日本デザイン振興会が運営している「2020年度グッドデザイン賞」と「グッドデザイン・ベスト100」を受賞しました。【評価コメント】(グッドデザイン賞ホームページ、「受賞対象一覧」にて公開)南極では、十分な人数の建築専門家を送り込めないために現地の研究スタッフで建築の施工を行わなくてはならないこと、限られたエネルギー源を生かす必要があることといった課題を解決するために、プレハブ技術を生かした省施工・省エネの基地ユニットが活用されてきた。実はこの条件は月面基地など宇宙環境でも同様であるという気づきから、ミサワホームが国立極地研究所、JAXAと組んだ研究への活用が進められている。極地環境におけるプレハブ・住宅技術の活用と磨き上げが宇宙基地の建築に資するという発想と、着実な研究の積み重ねが評価された。 不良原因解析AIの概要。品質監視データに加えて、現場技術者の知見と過去の品質低下原因を用いて原因を解析し、分析作業を大幅に短縮する。https://www.ism.ac.jphttps://www.nipr.ac.jp/hhttps://www.ism.ac.jp詳細はこちらをご覧ください令和2年度〜令和2年度令和2年度統計数理研究所国立極地研究所統計数理研究所タイヤ振動データを用いた道路状態推定システムの研究産学共同実証実験「南極移動基地ユニット」がグッドデザイン賞等を受賞品質管理ビッグデータに対するデータ解析手法を開発
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